この記事を読まれている人は、以下のような疑問を持ったこともあると思います。
- 権限委譲ってどうやったら上手くいくんだろう?
- 権限委譲のやり方に何かコツってあるのかな?
- そもそも権限委譲したいけど、忙しすぎてできない
こんなふうに思う人も多いかと思います。
権限委譲しても、メンバーがうまく機能しなくて、余計に時間がかかってしまいそうでなかなか権限を委譲できない人もいますからね。
しかし、権限委譲ができなければ、いつまでも自分ばっかりが忙しい状況も変わらないですよね。
これもマネジメントにおいてのジレンマでもあります。
ではどうすれば良いか?
ぼくなりの結論は以下ですね。
権限委譲のジレンマを克服するモデル
- なるべく頻繁に自分の持っている情報をメンバーに伝達する(情報量・情報伝達回数)
- なるべく多くの情報を徹底的にメンバーに伝達する(情報伝達の質)
これ、抵抗ある人も多いでしょうけどね。
今回は「権限委譲のジレンマとは?:権限委譲の原則と丸投げを防ぐ権限委譲モデルについて検討してみた」と題して、ご紹介してまいります。
盲点かも知れませんが「急がば回れ」の発想です。
それでは、さっそくみていきましょ〜。
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もくじ
そもそも権限委譲とは?英語ではエンパワーメント
それでは、ここでは権限委譲について解説していきます。
権限委譲は、英語では「エンパワーメント」と呼ばれていたこともありました。
(エンパワーメントって言葉は、90年代後半にすごく流行った言葉です)
権限委譲とは、以下のような定義です。
権限委譲とは
- マネジメントが行う業務上の権限の一部を、メンバーである部下に与えること
この権限委譲を適切に行うことによって、社員のモチベーションも大きく高まり、かつ、能力開発に大きく貢献し、組織の生産性を向上することに役立つと考えられています。
この権限委譲を成功させるコミュニケーションの手法として、コーチングというものが注目されたりもした背景もあります。
(エンパワーメントの後にコーチングという言葉=コミュニケーションのみを切り取った言葉が潮流として開発されてます)
つまり、メンバー本人の主体性を引き出し、側面から支援しつつ、メンバーに「マネジメント活動の1部を任せていく」のが権限委譲です。
権限委譲の原則とは?
この権限委譲にも一定の原則が存在します。
それは、ルーティーン作業やマニュアルに則った業務などは部下に権限委譲し、管理者は例外な業務処理に専念するべきという原則です。
これにより作業効率を上げることができます。
会社によっては、簡単な承認行為などもマネジメントが行わずに、現場決済に委ねる組織もあったりします。
情報の把握の仕方や判断の方法はマネジャー人それぞれで異なる部分もあると思います。
そういった部分もマネジメントとして権限を委譲させていくことで、次世代のマネジメントの育成につながっていくんですよね。
とはいえ、そんなルーティン作業やマニュアル化できる仕事なんて本当に少ないのがマネジメントの仕事です。
また、難しい意思決定に必要な情報把握・分析力・策定力・決断力が下せなければ、次世代のマネジメントなんて育つはずはない。
ルーティンとかマニュアルとか、すぐに使えなくなりますよ。
(というのが、個人的な意見です。)
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権限委譲が丸投げになってしまうジレンマ
この権限委譲は、よく「丸投げ」とされることも多いようですね。
その理由としては、以下です。
権限委譲が丸投げになってしまう理由
- マネジメントがマネジメント固有の情報収集のシステムに頼っているから
マネジャーは、マネジャーの中でのネットワークやアクセスできる権限を持っていたりします。
(それが原因で膨大な仕事を抱え込むことにもなるのですけどね。)
しかし、権限を委譲されたメンバーには、同様の権限は与えられていない環境状況の中で、委譲された業務を遂行しようとします。
こうなると上手くいかないことも多いんですよね。
上手くいかない問題の原因の主は情報不足、あるいはその権限を扱うに至る関係性の不足です。
にも関わらず、任せた仕事を上手くやり遂げられないとして、メンバーの無能を嘆くマネジメントもまた多いです。
しかし、実際にメンバーからしてみれば、仕事を丸投げされて手も足も出せなかったというのが率直に思っている感情の部分かも知れないです。
そこに気がついていないマネジャーもまた多いです。
業務の丸投げ=人材育成や権限委譲と勘違いしているマネジャー
上段でお伝えしたことは、なぜか不思議と次々と起こっています。
それには、少し以前に流行ったスタートアップブームや、社内ベンチャーの気風が強い組織だと、この丸投げが人材育成の文化として浸透している組織もあったりします。
部下に修羅場の経験をさせて、それでも乗り越えたことによって成長実感を持たせようとしている考え方の組織ですね。
こうやって乗り越えることに価値を感じた時代や世代もいたかも知れません。
しかしながら、多様性をマネジメントすることが求められる昨今、その変化に適応していない「イタい」組織が増えてきているんじゃないかな、そんなふうに感じます。
権限委譲がもたらすマネジメントのジレンマ
マネジメントは、「過度な激務」と「不条理な権限委譲」の2つを選択させられると、リンダ・ヒル先生は研究調査しています。
そして、おおむね後者の「不条理な権限委譲」を選択すると言われています。
その最大の理由としては「実質的にそうする以外に選択肢がない」と報告されていますね。
仕事の量が多く、決して1人ではやりこなすことができないことに次第に気づいて、どんどん「丸投げ=不条理な権限委譲」に陥っていくようです。
以前にもご紹介した「うわべの課題解決」が、この「不条理な権限委譲」へと形を変えたのかも知れませんね。
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ジレンマを克服する権限委譲モデルをすべきか?
では、どのようにこの権限委譲をおこなうべきか?
これはなかなか難しい部分もありますが、権限委譲の難しさは「情報開示」「情報量の均一化」の難しさにかなり相関があると思います。
なので、マネジャーは以下のことを意識してみると良いのではないでしょうか?
ジレンマを克服する権限委譲にモデル
- なるべく頻繁に自分の持っている情報をメンバーに伝達する(情報量・情報伝達回数)
- なるべく多くの情報を徹底的にメンバーに伝達する(情報伝達の質)
特に、ナンバー2と思える人物には、上記の注力ポイントは普段から徹底しておいても良いと思います。
そうすれば、いざ権限委譲が必要になった状況においては、この問題の半分近くは解決しているのではないかと思いますね。
「好ましくない情報が好ましくない人物に漏れてしまうではないのか?」
このような危険視する声も多くあると思います。
そのデメリットを考えても、周囲の人物に情報が伝わっている方が個人的にはメリットは大きいように思いますけどね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
改めて、権限委譲のジレンマを克服する方法は、以下です。
権限委譲のジレンマを克服する方法
- なるべく頻繁に自分の持っている情報をメンバーに伝達する(情報量・情報伝達回数)
- なるべく多くの情報を徹底的にメンバーに伝達する(情報伝達の質)
今回は、「権限委譲のジレンマとは?:権限委譲の原則と丸投げを防ぐ権限委譲モデルについて検討してみた」と題してご紹介してまいりました。
ま、参考になるひとに参考にしてもらえればと思います。
それでは、また次回!
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