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数値化できない目標設定はマネジメントできない神話:定量データの4つの危うさと克服ポイント

目標設定の数値化

よく、以下のような事を目標設定の時に言われたり、あるいは言ったりしませんか?

  • 数値化して測定できないのであれば、マネジメントできないですよ。
  • もう少しSMARTな目標設定って可能ですか?数量化されるとありがたいです。
  • なるべくなら、定性ではなく、定量的に判断したいんですけど。

「…(じゃ、お前やってみろよ)」

って、言いたくなるヤツですよね。笑

大丈夫です、本当に言う人はいませんからw

大抵の人はきっとニコニコしながら「そうですよね〜」って共感してるフリして言ってくれますよ。

ちなみに、マネジメント活動そのものの成果を、数値で測定したした人は過去にいませんね。

(能力で測定されることは多くありますけど)

また、数値目標がどの程度成功したかを数値測定した人もあまりませんよ。

それなのに、数値目標や数値化・定量化にこだわる人はけっこう多いと思います。

じゃ、どうすればいいんだよ!?

って怖い声も聞こえてきそうです…これもマネジメントのジレンマですけどね。

ぼくなりの回答としては、以下ですね。

数値化できない目標設定を克服する方法

  • 定性目標と定量目標の両方を作ってみて、適した目標はどれかを「現実と成果とのバランス」を一緒に考えながら設定する

今回は、「数値化できない目標設定はマネジメントできない神話:定量データの4つの危うさと克服ポイント」と題してご紹介してまいります。

マネジメントとしては、現場と成果のバランスを見出さなくてはいけないんですよね。

なので、定量目標や数値化したデータの限界みたいなところを少しご紹介してまいります。

それでは、さっそくみていきましょ〜。

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もくじ

数値化できない目標設定はマネジメントできない神話

ここでは、「数値化できない目標設定はマネジメントできない神話」という点についてご紹介して参ります。

数値化できない時は、どのようにマネジメントすればいいかって、けっこう難しいですよね、やっぱり。

(簡単に言っててごめんなさい)

数値化して管理すれば、以前にもご紹介した現場との関わり方や、権限委譲の難しさなども克服しやすいのではないかと思います。

また、余計な人間性を排除して、合理的に意思決定したいファスト志向なマネジャーや、組織に手触り感を求めないマネジメントは、とりわけ数値化・定量化は魅力的に思えますからね。

彼らのよく言うフレーズは「数値は嘘をつかない」です。

「数値化されたものは信頼性があり、客観的である」というのが、彼らの根底にある「客観的ではない思い込み」です。

なので、「数値化できない目標設定はマネジメントできない」と考えてしまうのかも知れないですね。

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定量データの4つの弱点

ただ、そんな数値化された定量データや定量目標にも弱点があります。

その弱点とは以下ですね。

定量データの4つの弱点

  1. 定量データの守備範囲は限定的である
  2. 定量データの過度な集計化
  3. 定量データの可視化にかかる時間ロス
  4. 定量データの中にまざる多くの信頼性の乏しいデータ

以下で1つひとつご紹介していきます。

定量データの守備範囲は限定的である

1つ目は、「定量データの守備範囲は限定的である」ですね。

これは能力アセスメントなどではよくある話ですけど。

全社の業績が向上したのは、「社員の能力が向上したから」か、「経営者が有能だったから」か、「他の競合が不祥事を起こして顧客が移ってきたから」か。

などなど、それらを裏付けるデータが極めて定性的に判断せざるを得ないですよね。

(それを判断するのは、上位職の自由ってのも非合理です)

このように、定量データの示す守備範囲って「非常に」限定的だったりします。

定量データの過度な集計化

次に、「定量データの過度な集計化」について解説します。

これは、例えば大手企業の損益計算書などをイメージしてもらえたらと思います。

企業の損益を計算するためには、非常に細かな管理会計をする作業が発生します。

そして、その集計の過程では多くの情報が抜け落ちていたりするものです(あまりあってはいけないことですけど)。

マネジメントにおいてもそうですね。

マネジャーが意思決定に必要な思考プロセスを実現するためには、実際に手を動かせるレベルでの「細々とした具体的な取り組み情報」が必要です。

パッとアウトプットだけ見ても、それがどのように構成されているかを具体的にイメージ・理解できることが必要だと思います。

定量データの可視化にかかる時間ロス

3つ目は「定量データの可視化にかかる時間ロス」です。

これは、もう書いてそのままの意味ですけど。

情報が数値化されるまで時間がかかるってことですね。

最近こそ、可視化における時間的なロスというのは減ってきていますが、集計化・可視化されたものをさらに報告書としてまとめるまで1ヶ月〜2ヶ月かかったりしますからね。

定量データの中にまざる多くの信頼性の乏しいデータ

4つ目は「多くの信頼性の乏しいデータ」です。

数値化されたデータは正しいという前提で使われることが多いです。

でも、よくよく考えてみると、その信頼性がめちゃくちゃ乏しいなんてことはよくあります。

これは、政府機関系の統計情報にいたっても同様です。

それぞれの市町村の職員である「専門外の調査員」が駆け回って集めたデータを、政府の集計した結果として公表することはよくあることだと思います。

報告書に何を書くかは、その報告書を作る人間の意図次第ですからね。

データの出所や引用などが報告書に書かれていたとしても、その出所や引用がもしこのサイトだったら、絶対に疑ってくださいね。笑

目標設定の数値化が難しい場合は定性と定量の比較

じゃ、一体どうすればいいんだよ?ってことですが、結論を改めて記載すると、以下ですね。

数値化できない目標設定を克服する方法

  • 定性目標と定量目標の両方を作ってみて、適した目標はどれかを「現実と成果とのバランス」を一緒に考えながら設定する

あまり定量化された数値に振り回されないためにも、定性的な情報というのも取得していってほしいですね。

マネジャー自身が自分なりの見識・見解を持つために必要な行動を取るというのが肝要だと思います。

そして、どのような目標を掲げればいいか、どのようにしてマネジメントをしていけばより良い結果に繋がりそうか。

ここは現場をよく理解しているメンバーと一緒に作っていくことを忘れちゃいけないですよ。

(あと、メンバーに目標を作らせて「自分で作ったんだから、これ”やる気”あるよね?」的なスタンスもNGっす。この辺はまた機会があれば書きます)

まとめ

いかがでしたでしょうか?

目標設定において適した目標は何かを考えるとき、「現実と成果とのバランス」を一緒に考えながら設定するのが良いですね。

一緒に、お互いの納得と合意の上で…ね。

今回は、「数値化できない目標設定はマネジメントできない神話:定量データの4つの危うさと克服ポイント」と題してご紹介して参りました。

ま、参考になる人に、参考になれば。

それではまた次回!

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