時々、以下のような妄想を考えたりしませんか?
- 完璧な組織って作れないかな〜
- ティール組織とかって、これから全ての会社が目指すべきなのかも?
- 仕組みさえ整えれば、あとは流れるままに任せておきたい
いや〜、日々大変なマネジメントにご苦労されてたりすると、どうしてもこういうふうに考えたくなりますよね。
でも、これは無理な話です、ってのが今回の記事の内容になりますw
なぜなら、そこには人間の「限定的合理性」という性質があるからだと考えられていますね。
人間の「限定的合理性」って!?
また小難しいキーワードを出してすみません。
(人事屋をやってると、どうしてもこういったアカデミックなワードを使いたがるのは、よくありませんな・・・でも使いますw)
今回は「人間の限定合理性が生み出す組織の合理的な失敗:組織の進化と衰退をもたらすパラドックス」と題して、人間の「限定的合理性」から見た組織マネジメントについて考えてみたいと思います。
意思決定のプロセスにおいても、注意しておきたい考え方ですね。
それでは、さっそくみていきましょう〜。
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もくじ
人間は限定合理的な生き物という前提
それではここから、人間の「限定的合理性」についてご紹介して参ります。
限定合理性とは何でしょうか?
ここでは、その意味をご紹介していきます。
限定合理性とは以下のような意味ですね。
限定的合理性の意味
人間がどんなに合理的な行動を取ろうとしても、さまざまな制約条件によって、あくまで限定された合理性しか持ち得ないことを示す用語
(引用:https://theory.work/terms-limited-rationality/#Herbert_Alexander_Simon)
つまり、人間は、収集した情報量やその処理能力・時間といった、数多くの制約を受けるので、あらゆる条件下における絶対的な”合理性”を担保した最適行動は、実現不可能というものですね。
これは、アメリカの政治学者・認知心理学者・経営学者・情報科学者であるハーバート・アレクサンダー・サイモン先生が提唱しています。
経済用語としてよく使われているキーワードという印象がありますけどね。
(どーでもいいけどサイモン先生、学者やりすぎでしょw)
組織の合理的な失敗とは:メカニズムを解説
サイモン先生が提唱した人間の限定的合理性が原因で、組織は合理的な失敗を生み出すというふうに考えられています。
組織の合理的な失敗とは、以下のようなメカニズムです。
組織の合理的な失敗のメカニズム
- 人間は限定的にしか合理的になれない(前提)
- 限定合理性には必ずマイナス要因、非効率、不合理が存在する
- それらを回避すべく、新しい戦略策定にさらにコストをかける
③の結果、現状維持が妥当という判断がされたとき、②で生み出されるマイナス要因に適応できず、組織は衰退するというのが「組織の合理的な失敗」のメカニズムです。
皮肉な話ですよね。
現状維持メリットが変革メリットよりも大きいと判断されるってことは、何かしらの人的意図が見え隠れします・・・。
だからこそ、「組織の合理的な失敗」って呼ばれるんでしょうけど。
では、これを回避するにはどうすれば良いでしょうか?
批判的な場や組織を内在させる
「組織の合理的な失敗」を避けるには、「批判的な場」や「批判的な組織」を内在させることだと言われいます。
もちろん、”建設的に批判的”って意味ですよ(笑)。
どうしても、人間は自分が正しいと思いたいですし、思いがちです。
そうやって完全合理的なセルフイメージが組織内に固まってしまうと、以下のようなことが起こってしまいます。
批判的なスキームのない組織
- 自由な議論も行われない
- 批判も受け入れられない
- ドグマ的(独断的)なマネジメントが始まる
人間の正しさは「限定的」であると思い出させるためのスキームを用意すれば、多少の組織の不条理は回避されるかもしれませんね。
そのためには、「批判的な場」や「批判的な組織」を内在させるというのが効果的ですね。
まとめ:組織の進化も人間の限定的合理性
いかがでしたでしょうか?
実は、組織が今以上により良くなる・発展する要因もまた、人間の限定的合理性にあると考えることもできますね。
これまでの失敗やマイナスの要因を克服しようとする、新しい試み、新しいチャレンジこそが、組織の失敗を防ぐ大きなポイントだって話です。
今回は「人間の限定合理性が生み出す組織の合理的な失敗:組織の進化と衰退をもたらすパラドックス」と題してご紹介して参りました。
参考になる人に参考になれば。
それでは、また次回!
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