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職能資格制度の誕生秘話?:高度経済成長を支えてきた日本の人事制度の成り立ちをザックリ解説

企業の人事制度や組織の仕組みって、理解したり、制度を作り直したりするのってやっぱり大変ですよね。

先日の記事にも書いたように、時代に適応させて制度を作っているつもりでも、そのほころびがいろんなところに出てきたりもします。

そんな中で、以下のように疑問に思ったことはありませんか?

ぼくも、人事制度の歴史みたいなものは、どきどき疑問に思ったり、そこから興味を持ったりしていました。

それで、「職能資格制度」について調べてみたことがあったので、ちょっとこちらでまとめておきたいと思います。

今回は「職能資格制度の誕生秘話?:高度経済成長を支えてきた日本の人事制度の成り立ちをザックリ解説」と題してご紹介して参ります。

日本独特の雇用慣行についてイメージを持ってもらえるとおもいますので、参考になれば嬉しいですね。

それでは、さっそくみていきましょう。

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もくじ

戦後〜1950年代に日本の雇用慣行が生まれる

ここでは、戦後からおおよそ1950年代に直面した日本企業の組織的な課題や変化についてご紹介していきます。

ポイントは以下です。

戦後から1950年代に直面した課題や変化

この時期に、今の日本の雇用慣行が生まれたといっても良いかも知れませんね。

それでは、以下で簡単に解説していきます。

GHQによる経営層の追放

まず、戦後の日本においては、アメリカの占領下となりましたよね。

それによって、GHQによりさまざまな統制がかけられてきました。

戦前より企業経営を担っていた人たちを、経営から退かせるということも行われましたね。

それによって、もともと優秀で身分の高い人たちも人手不足へとおちいってしまいます。

そんな中で、高等教育を学んできた身分の人たちは、身分や学歴の低い当時の労働者たちと一致団結をせざるを得なくなりました。

こうして、戦後の自分たちの会社を盛り上げようという気運が高まった背景があったようですね。

一部の大手企業の工場での制度が日本のモデルとなる

そんな中で、ある大手企業の工場では、「自分たちの企業に勤める社員は全て会社が守る」という思想(か、どうかは正直わかりませんが)により生まれました。

これが、世に有名な「年功序列」と「終身雇用」だったわけですね。

この「年功序列」と「終身雇用」を紹介した『日本の経営』という書籍が日本で大ベストセラーとなり、日本企業の目指す姿としてどんどん広まっていきました。

この『日本の経営』っていう書籍は、アベグレンという外国人研究者(上智大学の先生)によって書かれた書籍でしたね。

ただ、この当時も日本企業のほとんどは中小企業でした。

しかし、この書籍の示していたである「年功序列」と「終身雇用」の仕組みが、この当時の日本にはとても魅力的だったのでしょうね。

1950年代〜1970年代に構築された職能資格制度

1950年代に広まった「年功序列」。

年齢に応じて給与が上がるっていう夢みたいな制度ですよね?

ですが、現実は、単に同じ年齢なら誰でも同じ給料というわけには当然いきません。

特に、この時代でも課長や部長と呼ばれる役職者のポジションも限られていました。

そうなんです、これっていわゆる「実力主義」だったんですよね(管理職以上に限っては)。

しかしながら、それでも日本の給与制度は世界から見たらちょっと特殊だったかもしれません。

そのポイントが以下です。

1950年代〜1970年代に起こった人事制度的な変化

以下で一つひとつ見ていきましょう。

能力主義管理

この「能力主義」について解説していきますね。

これは、「給料は職務ではなく人の能力が決める」という意味です。

今では、日本の人事制度としても、とてもに慣行的なものになっちゃいましたね。

例えば、外国語教室を運営する企業の社員で、以下の二人がいた時、どちらが高い給料でしょう?

問題:給料が高い人は?

どちらが高い給料かと聞かれたら「Bさん」と答える人が多いと思います。

これが日本的な「能力主義」ですね。

「同じ英語クラスを担当する仕事」で給与が決まっていれば「職務主義」となります。

日本では、給料を高くしようと思ったら「ドイツ語を学ぶ」のが能力主義的な行動様式になっていったんでしょうね。

職能資格制度の誕生

そして、「職能資格制度」は、「能力主義管理」を基盤とした人事制度へと発展しました。

戦後から日本では、誰もがステップアップしてける会社作りを目指していました

そこで誕生したのがこの「職能資格制度」です。

そもそも、「能力」ってなかなか説明ができなかったり、あいまいだったするじゃないですか?

そこで、人の能力をベンチマークする基準を明文化して、制度に反映させたのが「職能資格」というわけです。

会社の中で企業人として成長していくことと、それぞれの職務に必要な能力の両方を制度化したものになりますね。

「職能資格」は、各職場のタスクを取りそろえて、それに必要な能力を調べあげて、必要な能力にランクをつけて積み上げていったものです。

これを、「職能要件」として体系立てていきます。

これが「職能資格制度」として完成したという背景があったわけですね。

まとめ:全員が階段を登れる組織作り

いかがでしたでしょうか?

脈々とこれらの裏側に見え隠れする思想としては、「皆んながステップアップしていける会社の仕組み」だったのかもしれませんね。

ずっと同じコミュニティの中で生活していけるような企業づくり。

こういったイメージが戦前〜戦後の日本企業の仕組みづくりの根っこにあったんじゃないかなって勝手に思っています。

今回は、「職能資格制度の誕生秘話?:高度経済成長を支えてきた日本の人事制度の成り立ちをザックリ解説」と題してご紹介してまいりました。

それでは、また次回。

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